坂嶋流記録庫

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古野まほろ『時を壊した彼女 7月7日は7度ある』(講談社)

 魂がぶつかり合う音が聞こえる――そんな気がした。
 友人を救うため、何度も何度も時を戻して戦う彼女たちの青春がここにある。古野まほろの描く青春は、いつだって命がけだ。だからこそ、秘めた想いを言葉にし、論理と情理がぶつかり合い、望んだ未来を手にしようとする様は読む者の心を打つ。
 デビュー作以来、著者が繰り返し描いてきた高校生、音楽、青春、そして謎とその論理的な解決――本格であること、その集大成にして現時点での最高傑作がこの作品だ。
 法律を学んだものならではの厳密なSFルール設定。吹奏楽経験者ならではの吹奏楽部の描写。ロジック派ならではの数え切れないほどの伏線回収と導き出される事実。たったひとつの鍵を起点に、一気に様変わりする世界。仮説と論理が導き出すのははるか彼方にあったはずの真相で。それを知ってしまった彼ら、彼女らの関係が元に戻ることはない。
 青春は儚い。だからこそ美しい。
 それが古野作品が放つ、比類のない魅力である。
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